包装材料・電子材料・合成樹脂機能材の 3 つの事業セグメントを通じて、食品容器から、化粧品・雑貨・スマートフォン・テレビ・自動車やインフラに至る様々な分野で、確かな素材を提供し、暮らしに便利さ・快適さをプラスする伊藤忠プラスチックス株式会社。伊藤忠化学品グループの中核事業会社として、国内外の数千社に及ぶ取引先と強固なバリューチェーンを構築し、多岐にわたる分野を根底から支えています。
現在、同社を巡る環境は、先進技術の開発やカーボンニュートラル・脱炭素社会の実現に向けた取り組みをはじめ、100 年に 1 度といわれる大変革期を迎えています。こうした変化の中で、伊藤忠プラスチックス株式会社 CAO グループ 審査法務部では、取引の根幹となる全社の契約の管理体制を見直し、Hubble miniの導入により事業の基盤を強固にする体制を構築しました。同社同部 審査法務二課 古田 智也 様及び同一課 野々村 冴乃様に商社ならではの契約管理の重要性や Hubble mini 導入前後の変化についてお伺いしました(取材時:2025 年 10 月)。
本記事のポイント
Over view
- 同社の審査法務部の概要
- 基幹職8名、業務職 2 名
- 契約書依頼件数:約 1,000 件/年
- Hubble mini導入前の課題
- 営業担当者が自ら契約書を閲覧可能な環境の構築
- 仕入先と販売先の契約条件の可視化
- 契約管理にかかる手間・工数の削減
- Hubble miniの利用範囲・利用文書類型
- 全社
- 契約書
- 導入後の効果
- 契約書から契約類型や損害賠償の上限額、品質保証期間、さらには、4M 変更や終売時における通知義務の有無等を AI が抽出して自動で一覧化するため、スムーズに契約書の内容を把握
- 営業部門からの契約書に関する問い合わせや契約台帳の作成・管理の手間から解放
- 営業担当者が契約書を自ら確認できるようになり、契約条件に関する具体的な議論に至るまでのスピードが格段に向上
仕入先と販売先の双方と契約条件を繋いでいく、商社ならではの契約審査
本日は宜しくお願いいたします。早速ですが、貴社審査法務部の概要を教えてください。
古田
審査法務部は、部長を含めた基幹職8名と業務職2名の10名構成となっていて、担当セクター毎に2課に分かれています。
当社には、包装材料、合成樹脂機能材及び電子材料の3つの事業セグメントがありますが、審査法務一課は、食品のパッケージ等に使われるフィルム等を取り扱う包装材料セクターを担当しており、審査法務二課は、家電製品や自動車用部品、ゲーム機、化粧品容器等の材料を取り扱う合成樹脂機能材セクターを担当しています。半導体やディスプレイパネルの製造工程で使用される化学品をはじめとする電子材料セクターは両課で担当しています。

伊藤忠プラスチックス株式会社 CAO グループ 審査法務部 審査法務二課 古田 智也 様
ありがとうございます。お二人のご所属の部署やこれまでのキャリアについても教えてください。
古田
私は、新卒で当社に入社後、審査法務部に配属となり8年目になります。現在は、審査法務二課に所属しております。
野々村
私は、ロースクールを卒業後、当社に入社し、審査法務一課に所属しています。Hubble mini導入後、運用が開始してからの入社となります。
ありがとうございます。審査法務部の業務内容についてもぜひ教えてください。
野々村
大きく分けて2つの業務を担当しています。1つ目は、取引先に商品を販売するにあたり、取引先の財務状況や業績に問題がないか審査・分析を行う与信管理業務です。2つ目が、契約書の交渉・審査や管理を行う契約業務です。審査法務一課と二課では、先ほど申し上げた商材セクター毎に両業務を分担しています。

審査法務部で与信業務も担当されているのですね!
古田
はい。毎年、与信申請書の更新タイミングで年間約3,000社の取引先の与信審査を行い、リスクがある場合には債権の保全方法の検討や取引終了時における期限の利益喪失条項の有無等を確認して、審査意見書を作成します。契約業務だけでなく、与信管理業務まで担っているからこそ、現場がどのような商材を扱っているか適切に理解しておく必要があります。時には、審査法務部から直接お客様に対して財務状況のヒアリングを行うこともあり、現場のリアルな状況を踏まえた判断が求められます。
事業や商材の深い理解をもとに業務を遂行されていることがわかります。もう一つの業務である契約業務も事業の根幹となる業務ですよね。契約書審査依頼の量や貴社のビジネスモデル上の特徴があれば教えてください。
古田
年間の契約書審査依頼の件数は約1,000件で、審査法務部では、一人当たり年間で150件程度担当しております。新規取引は、お客様からいただく「こういう商品がないか」という問い合わせを起点に、仕入先と販売先を繋ぐことからスタートします。取引開始前には、仕入先と販売先双方と秘密保持契約を締結し、商流が出来つつある段階では、取引条件を整理して双方と取引基本契約を締結することになりますので、秘密保持契約と取引基本契約の審査依頼が多いです。
特に、トレーディングビジネスを展開する当社における契約書審査業務の特徴として、仕入先と販売先との契約条件を繋ぐ、いわゆる「Back to Back」で対応していることが挙げられます。

具体的にはどのような契約条件のことでしょうか?
古田
販売先と定める、品質保証期間や損害賠償等について、商品の仕入先と定めた条件を比較し、商品の製造を担わない当社が品質や損害賠償等のリスクを負わない契約条件となっているかどうかに特に気を配りながら契約書審査をしています。例えば、販売先との契約において、仕入先の損害賠償の上限の定めがあるにもかかわらず、販売先との関係で当社が上限のない損害賠償責任を負う契約を締結してしまうと、損害賠償上限額を超えた賠償範囲は当社の経済的なリスクとして顕在化する可能性があります。
なるほど、リスクを防止するために、仕入先と販売先の契約条件を揃える必要があるのですね。ただ、容易にそうした契約交渉はできるものではないように思います。
古田
はい。交渉が難航するケースも多々あります。仮に、仕入先と販売先の契約条件を揃えられない時には、リスクを適切にコントロールしながら、落としどころを探り調整していく。そうした役割も、私たち審査法務部の重要な仕事だと考えています。
非常に勉強になります。審査法務部では、契約書管理もご担当されているのでしょうか?
野々村
はい。審査法務部では、一部の例外を除き全ての契約書を管理しています。個別の発注や納入仕様書等のリスクが限定的な契約書はその例外として営業部門が管理しております。
吸収合併後の契約条件の把握をはじめとする法的リスクの可視化は経営上も重要な課題
Hubble mini導入前の貴社における契約書の管理体制について教えてください。
古田
当社では、契約書の締結のほとんどを紙で行っており、審査法務部で管理する契約書は、締結後、原本に契約書の管理番号を記載した付箋を貼り付け、キャビネットで保管をしていました。また、スキャンしてPDFデータを、管理番号順に審査法務部の共有フォルダに格納し、Microsoft Excel(以下、「Excel」)で契約管理台帳も作成していました。
営業部門では、どのように契約書を管理していたのでしょうか?
野々村
営業部門で管理する契約書については、審査法務部では管理方法について関与していなかったため、全ての案件でPDFデータが送付されていたわけではありませんでした。原本の管理方法も担当者ごとに契約管理の方法は異なっていたと思います。担当者のキャビネットの中に仕舞われてしまうケースもあれば、ファイルの中に整理されて一元的に管理できているケースもありました。
年間約1,000件も新規の契約が発生している中では、契約管理の負担も大きいのではないかと思います。実際にどのような点が課題だったのでしょうか?
古田
2点あります。1点目は、営業担当者が取引基本契約を締結する際に、その仕入先または販売先との取引基本契約の条件を把握できていないことに起因するリスクへの対応です。
2点目は、契約管理にかかる手間や工数といった業務負荷の改善が課題でした。
1点目のリスクへの対応から、具体的にお伺いしてもよろしいでしょうか?
古田
例えば、販売先から取引基本契約の締結を求められた場合には、その商品の仕入先の契約条件を知らないと、販売先と仕入先の契約条件がBack to Backにならず、販売先と定めた品質保証や損害賠償の条件が、仕入先と定めた条件と異なってしまう等、契約上のリスクが生じる可能性があります。しかし、営業部門でも、仕入先の品質保証条件などを正確に把握していないケースがあり、このようなリスクを未然に防止する体制の整備が重要な課題でした。

営業担当者の方が個別契約を締結する際は、審査法務部の皆様が管理している取引基本契約書を閲覧できる状態だったのでしょうか?
古田
いいえ。審査法務部で基本契約書のPDFデータを保管していた共有サーバーの閲覧権限は審査法務部にしかなく、営業部門向けには、先ほど申し上げた契約管理台帳としてExcelを共有していました。品質保証期間や損害賠償等、取引基本契約で取り決めた契約条件もこのExcelに記載していましたので、営業部門はExcelを確認し、個別契約書で契約条件が変化していないか確認し、必要があれば審査法務部に問い合わせをしてもらう運用でした。ただ、当社は、伊藤忠商事株式会社の他の事業会社や伊藤忠グループ外の会社との統合により拡大してきた歴史がありますが、統合前の会社で締結していた契約条件も網羅的に確認する必要があります。さらに、過去に締結した契約書の中には当社に不利な契約条件もありましたので、全ての契約書上のリスクを可視化して、対処することが経営上も重要な課題です。
2点目の課題である、契約管理にかかっていた手間や工数というのはこの営業部門からの問い合わせも含まれていそうです。
古田
そうなのです。審査法務部には、「取引先との契約書の締結有無や、取引基本契約書の契約条件を確認したい」等の問い合わせが月に10件程度発生していて、その度に、メールでPDFデータを共有する手間が発生していました。また、契約書のPDFデータを閲覧する際には、約1万件を超える契約書の中から、契約管理台帳に記載した契約書の管理番号を手がかりにして、共有フォルダから該当する管理番号が記載された契約書の PDF データを探す運用となっていましたので、実際に契約書の PDF データを開くまで、契約条件を確認することができないという不便さがありました。

契約管理のうち、期日管理についてはどのような運用だったのでしょうか?
古田
審査法務部で管理している取引基本契約は、基本的には自動更新になっていますので期日管理が問題となることは少ない状況でしたが、営業部門で管理している秘密保持契約は有期契約になっていることもあり、また、保証差入書は、適宜更新手続きが必要である等、様々な対応が求められていました。こうした各種契約書の期日管理は基本的に営業部門で行っており、審査法務部として全社的な管理ができている状況ではありませんでした。
そうした状況の中で、Hubble mini をご導入いただきましたが、導入の決め手を教えてください。
古田
導入検討にあたっては、複数の契約管理システムを比較・検討しておりましたが、その中でも Hubble mini は、AIで契約書から当社が必要とする情報をカスタマイズして抽出し、自動で契約管理台帳が生成される点と、柔軟性の高い検索機能を備えている点が特に魅力的でした。
実際にトライアルでお試しいただいた際のご感想をお聞かせください。
古田
トライアルは、審査法務部内の8名で実施しました。トライアル時に受けた印象としては、操作性が非常にシンプルで、ユーザー視点に配慮されたシステムであると感じました。また、AIが契約書から抽出する契約の各項目についても、分かりやすく整理されており、一覧性に優れている点を評価しました。
予算取りはどのように行われたのでしょうか?
古田
審査法務部におけるメリットだけでなく、営業部門における契約書への検索・閲覧環境の改善や契約期限の管理等、営業部門にとってのメリットがあること等、想定される導入効果を試算し、稟議書を作成しました。加えて、契約条件が可視化できるようになることで、経営上も重要な課題となっていた法的リスクを未然に防止できる体制の構築ができるとの説明をしたことで、導入に関して特に反対の声はなく、スムーズに承認を得ることができました。

外国語の契約書を含め品質保証期間や損害賠償の範囲等の契約条件をAIが自動抽出しリスクを可視化
それでは、Hubble mini をご導入いただいた後、どのようにご活用いただいているのか、教えてください。
野々村
全部署の全従業員にアカウントを配布してHubble miniを全社で利用しています。締結後の契約書を審査法務部でスキャンし、PDFデータとしてHubble miniに格納すると、自動で契約管理台帳が生成されますので、権限管理の下で必要な情報を自ら閲覧できる体制になりました。
権限設定はどのように行っているのでしょうか?
古田
元々、営業担当者が契約書を確認できないことに伴うリスクを防止するために導入検討を開始した背景があることから、原則として、全従業員が契約書を閲覧できるような運用にしています。もっとも、契約書の中には、閲覧範囲を限定すべき契約書もありますので、例外的に閲覧を制限すべき契約書を絞ることで権限を統制しています。 また、契約書は秘密情報も含まれますので、セキュリティ対策として、Hubble mini上に持ち出しを禁止する旨の警告文を表示するようにカスタマイズしていただいているのも非常にありがたいです。
特に活用いただいている機能はありますか?
古田
カスタム項目AI自動入力機能を積極的に活用しています。契約書のPDFデータをアップロードするだけで品質保証条項、品質保証期間、損害賠償条項、基本契約と個別契約の優先関係、4M変更時の事前通知義務、金型の名称と金額といった条件を、自動で抽出して一覧化されるようになりましたので、スムーズに契約条件を把握できるようになりました。特に、品質保証期間の確認においては、仕入先との契約は6か月間なのに、販売先との契約は1年間になってしまっている、といったBack to Backにできていない契約を、Hubble miniのAIを活用して自動で洗い出せるようになったので非常に助かっています。

4Mの変更や終売時の通知義務を把握することがなぜ重要なのですか?
古田
販売先に対する4Mの変更や終売時の通知義務は、商品の供給や品質、取引の継続そのものに影響する非常に重要な契約条件ですが、これが仕入先と「Back to Back」で繋がっていないと、当社が通知義務違反のリスクを負ってしまいます。そのため、こうした通知義務を定めた条項の有無やその内容を適切かつ容易に把握することができれば、契約管理を効率的に行うことができます。
検索機能の使い勝手はいかがでしょうか?
野々村
非常に便利です。例えば、特定の金型を除却する際に、その金型の使用貸借契約書を確認する必要があります。その際には、金型名で本文検索をすることで、該当する契約書を、多数の金型使用貸借契約書から迅速に特定できるようになりました。
私は入社してから日が浅いため、過去に締結された契約書の状況を十分に把握できていないと感じることがあったのですが、Hubble mini導入後は契約書を検索できる環境が整ったことで、他のメンバーに逐一確認することなく、必要な情報を自ら確認し、スムーズにキャッチアップができるようになっています。

外国語の契約の対応にもお役立ちいただけているのでしょうか?
古田
金型を資産として海外に置くケースでは、外国語の金型貸与契約書が発生します。こうした外国語の契約書の契約条件も、カスタム項目AI自動入力機能で自動抽出しておりますが、契約管理台帳には自動で日本語も併記されるようなプロンプトを設定しているため、事業部門も一目で内容がわかるようになっています。
Hubble miniによる全社の契約管理体制の構築が新たなビジネスのチャンスの議論にも展開
審査法務部以外の皆様の反応も教えてください。
野々村
営業部門からも、「使いやすい」という声が上がっています。契約書は法的な専門性の高い内容が多く、営業部門で日々行う営業活動と性質が異なるため、システムが複雑になると余計に苦手意識を生む可能性もありましたが、Hubble miniの使い方を聞かれたことはありません。
古田
従来は、営業担当者が他部門で締結された契約書の内容や取引先を把握することは難しい状況でしたが、Hubble mini の導入後は、営業担当者自ら他部門が締結した契約書を検索や確認することができるようになりました。その結果、同一の取引先と重複して契約を締結してしまうことを防ぐことができるようになったことはもちろん、経営層や部門の責任者の間では、部をまたいで取引先を把握できるようになったことで、既存の取引先同士を繋ぐことで、新規ビジネスの検討の土台にもなっているとも聞きました。
それは素晴らしいですね!営業部門からの依頼には変化がありましたか?
古田
営業担当者自ら、過去に締結した契約書を確認した上で審査法務部に相談を持ち込むケースが増えており、具体的な契約内容に踏み込んだ議論に至るまでのスピードが格段に向上しています。
野々村
私も、同じように、営業担当者が事前に契約条件を確認したうえで依頼を受けるケースが増えていると感じます。リスクに関する認識の共通化や本質的な論点に集中した議論ができるようになりました。

審査法務部でも、営業部門が契約を理解できるような工夫をされているのでしょうか?
古田
はい。当社や当社グループ間のジョブローテーションにより引継ぎが頻繁に発生していて、営業部門において契約条件の理解が断絶しやすいため、契約内容の要約も契約管理台帳に反映されるように工夫しています。具体的には、契約書から30字程度で契約内容の要約が自動抽出されるプロンプトを組んでいます。この結果、営業担当者が契約管理台帳を見るだけで契約内容が簡単に把握できる状態になりました。契約に関する理解の土台ができ、会社全体としても効果を感じています。

まさに、Hubble miniにより貴社の取引の根幹となる契約の管理体制を整えられており、非常に嬉しいです。最後に、今後の展望を教えてください。
古田
今後、労働人口が減少していく中で、AI 活用をさらに拡大していきたいと考えています。当社の事業特性上、契約審査においては、仕入先と販売先の情報を事前に把握し、商流等の関係が契約書に反映されるようにする必要がありますが、現在は、その前提となる情報整理に多くの時間を要しています。この点も、例えば、Hubbleの案件申請機能(申請支援AI)なら、必要な情報を事前に整理・抽出できるという点から魅力を感じており、注目しています。また、上海、香港、台湾やタイにある海外事業会社においても、日本と同等の環境を整えたいと考えています。
野々村
審査法務部は、与信管理も契約審査も依頼が集約される部署であり、案件の背景や経緯を把握するために、営業担当者との間でやり取りが多く発生します。その際、あらかじめ必要な情報が整理されていれば、よりスムーズに業務を進められると感じる場面も多く、こうした工数についても削減していきたいと考えています。
本日は貴重なお話をありがとうございました!

会社概要(2026年3月現在)
Company Profile
| 会社名 | 伊藤忠プラスチックス株式会社 |
| 所在地 | 東京都千代田区一番町21番地 一番町東急ビル4 ・ 5 ・ 6F |
| 設立 | 1986年4月 |
| 代表者 | 代表取締役社長 林 英範 |
| 事業内容 | 各種包装材料の販売/産業資材の販売/電子デバイス材料の販売と輸出入/合成樹脂機能材・板素材・製品の販売と輸出入 |
| URL | https://www.itc-ps.co.jp/ |
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